docomo LTE Xi下り最大100Mbpsサービス:フィールドテスト特集【ツール編】クラウド対応FTツールXenSurvey ( 2013-01-15 05:00:00 )
11月16日にNTTドコモがサービスを開始した『docomo LTE Xi下り最大100Mbps』のフィールドテスト特集の最終回は、ツール編第3弾として今回のフィールドテストの際に試用したクラウド対応のFT(フィールドテスト)ツールXenSurveyについて紹介する。
XenSurveyについては、本特集の【1】はじめに および 【ツール編】電波測定ツール などで簡単に紹介しているので併せて参照頂くとして、まずは、開発元Xencode社(英国ロンドンおよび米国カリフォルニアを拠点とする2011年創業のベンチャー企業)による、XenSurveyの全体をイメージできるXenSurvey Overview公式動画を紹介する。
XenSurveyは、Google Playストアから無料ダウンロード可能なAndroidデバイス用アプリケーション『XenSurvey for Android』と、デバイスで取得したデータを活用するためのPC-Webベースのクラウドサービス『XenSurvey Cloud』(月額29ドル~)を連携して使用する。
以下、個々の機能概要について紹介する。
XenSurvey for Android
XenSurvey for Androidは、Dashboard、Location、Throughput、Detail、Bluetooth、Settingsの6メニューで構成されている。
- Dashboard
現在の信号強度、DATA通信状態、オペレーター(モバイルキャリア)、ネットワークモード(LTE・HSDPA・3Gなどの種別)、直近の信号強度グラフ(ピンチアウト・ピンチイン操作で計測時間を1分・2分・5分・10分と変更可能)、セルID、WAN IPアドレス、直近に自動計測した下りスピード(Mbps)・上りスピード(Mbps)・ping(ms)、テスト経過時間、スループットOn-OFF状態、およびテストの開始・停止ボタンが表示される。
テスト開始の『Start Survey』ボタンを選択すると名前(Survey Name)の設定と、Throughoutテスト周期の設定(Disableまたは計測間隔を1分・2分・5分・10分・20分・30分・60分から選択)を行い、Startボタンで自動テストが開始される。
- Location
Googleマップ上のテスト結果(信号強度、計測ポイント、現在地)、位置情報(緯度・経度・海抜)、移動速度・進行方位が表示される。
- Throughput
直近に計測した日時・下り速度・上り速度のフラフと値、次回自動テストまでの時間、テスト実行回数、自動テストON-OFF状態が表示される。
- Detail
信号強度、オペレーター、ネットワークモード、RSRQなどが表示される。
- Bluetoothは、マルチデバイス用のCloudライセンスを使用している場合に、複数のAndroidデバイスを1台のAndrroidデバイスからBluetoothでテストのスタート・ストップをコントロールできる機能で、複数のネットワークまたは同一ネットワークでのデバイスごとの違いなどをテストする際に有効だ。
http://support.xensurvey.com/entries/21651121-conducting-surveys-with-multiple-devices
- Settings
登録アカウントの設定、データ使用量や各種単位などが設定可能だ。
【参考】1回のスループット計測を含む2分ほどのテストを行った場合のデータ量は、下り8.32MB、上り1.66MB、合計9.98MBの通信量であった。
スループットの計測間隔が短いと、あっという間に通信速度規制対象の7GBに到達してしまうため、複数回線を用意するか、スループット計測間隔を長めに設定する必要がある。参考までに、フィールドテストのメイン端末として利用したSC-02Eでは、約1か月の間に12GBものデータ通信を行なっている。
XenSurvey Cloud
XenSurvey Cloudは、Android端末で計測したデータをAmazon AWSクラウドサーバに保存し、Webブラウザ上でのテスト結果表示、解析結果表示、レポート自動生成(CSVデータおよびPDF)が可能で、Surveys、Reports、Devicesの3つのメインメニュー(他にAccount、Support)で構成される
- Overview
分析結果、ロケーションマップ、結果サマリグラフが表示される。
- Signal
信号強度およびネットワークの有効状態のグラフと分析結果を表示する。
- Location
ネットワークモード、信号強度のマップと分析結果を表示し、KMLファイルにエクスポート機能も用意されている。
・KMLファイルサンプル
・GoogleマップでのKMLファイルインポート
【XenSurvey】Xi100Mbpsフィールドテスト(徳島)
- Throughput
DownlinkおよびUplinkのグラフと分析結果を表示する。
【参考】テスト実施時点で確認したところ、Downlinkは日本国内サーバを利用しており、それ以外は海外サーバを利用しているとの回答があった。
また、Speedtest.netやRBB Todayよりも結果数値がかなり低い事を伝えたところ、アルゴリズムの変更を行ったとの連絡があり、国内サーバを使用しているDownlink(Mbps)においては、他のツールと比較して大差の無いレベルに改善された。
- Quality
Latency・Packet Loss・Jitterのグラフと分析結果を表示する。
- Metrics
各種平均値、ネットワークモード、Latency、Downlink、Uplink、デバイスについての分析結果を表示する。
- Overview
- Reports
生成済みのレポートが一覧表示される。
『Create Report...』メニューを選択すると、レポート生成画面に遷移する。任意のSurvey選択、レポート名入力、レポートタイプ(PDFかCSV)選択、用紙サイズ(A4・US Ltter)選択、Autor入力(PDFの場合のみ)、Introduction入力(PDFの場合のみ)の後、「Create Report」ボタンを選択するとレポートが自動生成され、リストに追加される。
生成されたレポートは、DownloadまたはDropboxへの送信が可能だ。
- PDFレポート
Webで表示されているテスト結果・解析結果を自動的にまとめて生成する。
PDFレポートサンプル
- CSVレポート
combined(各種データをまとめたCSV)、locations、bandwidth_samples、network_samples、quality_samplesの生データを出力する。
CSVレポートサンプル
combined.csv
locations.csv
bandwidth_samples.csv
network_samples.csv
quality_samples.csv
- Devices
現在使用登録しているデバイスと、過去に登録したデバイスの一覧を表示する。現時点では、1度ディアクティベーションしたデバイスを30日間は再アクティベーションできないという制限があるため、デバイス変更は、慎重に行う必要がある。
現時点では、IMEIによるチェックでデバイスを制限しているが、SIMの変更・キャリアの変更による制限は行われていないため、SIMロック解除済みの1台のデバイスで、複数キャリアのネットワークをテストする事も可能だ。
複数のネットワークを同時にテストする際には、別々なアカウントで同時実行させて、手動で結果をまとめるよりも、マルチデバイス対応のライセンスを使用したほうが、複数デバイスの比較が容易だ。
XenSurvey テスト結果
参考までに、今回のフィールドテスト結果のスクリーンショットおよびPDFレポートを掲載したので、興味がある方は参照頂きたい。
XenSurveyフィールドテスト(docomo SC-02E)
- スクリーンショット
XenSurveyフィールドテスト(KDDI LGL21)
- スクリーンショット
まとめ
XenSurvey for AndroidとXenSurvey Cloudは、特別な装置やソフトウェアを用意することなく、Androidデバイスだけで高機能なフィールドテストを可能にし、専門家でなくとも、広域でのモバイルネットワークの品質・性能の調査や、Androidデバイス毎のモバイルデータ通信性能比較などを可能とする、強力なフィールドテストツールと言えるだろう。
クルマ、電車などに乗って、広域でのテストをAndroid端末の操作を行う事なく、放置した状態で移動するだけで実施できる事のメリットは絶大だ。
複数台・複数ネットワークを同時に実行する場合は、5台までのWorkgroupライセンスか20台までのEnterpriseライセンスおよびBluetoothによるマルチデバイステストを実行すると、効率良くテストが実施できるはずだ。
※マルチデバイスでテストを実施した際は、制御するMasterデバイスと、同時実行したデバイスの台数がSurveyリストに表示される。( http://support.xensurvey.com/entries/22093801-cloud-survey-list )
気になる点を強いて挙げると、価格、ディアクティベーション端末の再利用制限(30日間)、日本語対応、Uplink・Latency計測サーバの海外利用、自動スピードテスト時のデータサイズが大きい事(LTE回線の7GB制限にスグに到達しています)、SNR計測ができていないなど、いくつかは改善して欲しいポイントがある。
価格やライセンスポリシーについては、個人利用としては厳しいが、業務利用と考えれば非常にローコストと言えるだろうが、せめてマルチデバイス対応のライセンスでは、再アクティベーション30日制限をなくして欲しいものだ。
日本語対応については、高機能なクラウド対応のツールだが、英語版のAndroidアプリ、Webインターフェイス、マニュアル、テクニカルサポートしか用意されていない点は、ハードルが高いと感じる人も少なくないだろう。 何れも高度な英語力は必要ないが、日本国内で広く受け入れられる為には、フルの日本語対応が求められるだろう。
実際のところは、テクニカルサポートと、機能の確認、機能追加要望、日本語表示のバグ、スループットスピードの改善などについてやり取りを行ったが、多くは翌営業日にはレスポンスがあり、かなり短期間に改善・改修対応がされており、ベンチャークラスのベンダーとしては、かなりサポート品質・レベルが高いといえるので、今後の日本語対応の強化に期待したい。
海外の計測サーバを利用に関しては、XenSurveyだけでは計測結果が不安定になりがちで、Speedtest.netやRBB Todayなどの他のツールでの手動テストを併用する必要があった。 しかし、手動テスト中にXenSurveyのスループット自動テストが実施されると、2つのツールで同時にトラフィックを発生して計測データが低下してしまうため、影響が軽微になるようにスループットテストを行わずに1台の端末で利用するか、複数台・複数回線を用意して、XenSurveyは放置したまま自動テストを行い、必要な手動テストを並行すれば良いという事になる。 また、Amazon AWSでを使用していることから変更も容易で、日本のユーザが増えれば、国内サーバ利用範囲も広がるものと思われる。
計測項目でSNRが取得できていない点についても、サポートとのやり取りを何度か行ったが、現状はスケジュールが立っていない。 他のAndroidアプリで取得できているものがあるだけに、早期の実装を期待したいところだ。
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いずれにしても、AppComingでは、今後も、マルチネットワーク・マルチデバイスでのフィールドテストには、XenSurveyを活用する予定だが、より日本国内で使いやすいツールになるように、開発元とのやり取りを継続する。
Xi100Mbps測定ポイント をGoogleマップ表示
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