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docomo LTE Xi下り最大100Mbpsサービス:フィールドテスト特集【総括編】ツアーを終えて
( 2012-12-26 23:30:00 )

docomo LTE Xi下り最大100Mbpsサービス:フィールドテスト特集

11月16日にNTTドコモがサービスを開始した『docomo LTE Xi下り最大100Mbps』のフィールドテスト特集、第14回目となる本記事では、電波測定ツアー全般についてまとめた。

B21・1.5GHz/下り最大100Mbpsの高速モバイル通信エリアの拡大 

1.5GHz・15MHzのXi 100Mbpsエリアは、高速で快適なネットワークが利用できることが確認できた。

対応エリアは、ユーザ数・データ通信量が多い東名阪ではなく、地方からのスタートで、面というよりもスポット的なエリアに限定されているが、理論値上限近いスピードが下り・上り共に計測できるなど、今後のエリア拡大に期待を持てるツアーだった。

Xiの2.1GHz帯を利用してきて、上りのスピードが抑制されて数Mbps程度にコントロールされていると感じてきたが、今回の1.5GHz帯では、上りも非常に高速で、また、2.1GHz・10MHz幅のエリアにおいても、上り速度の高速性を確認することができたのは大きな収穫だ。

近年のTwitterやFacebookなどのSNS活用や、DropboxやEvernoteなどのクラウドサービスへの写真・動画のアップロード、ツイキャスなどのパーソナルな動画配信は、上り帯域をシッカリと使えることで満足度が高くなるはずだ。

各キャリアが複数の動画サービスを展開しているが、映画やアニメなどの閲覧は、長時間に渡りネットワークのトラフィックを圧迫するが、上りは、ツイキャスなどを除けば、一般的に非常に短い時間しかトラフィックが無いはずだ。

電車などでの移動中にSNSへの投稿や写真などのアップロードを行う時に、短時間でサクッとアップロードされる事で、ハンドオーバーがスムーズにいかない際のアップロードエラーや、リトライを繰り返す事が減り、ユーザのフラストレーションはかなり少なるなる事が想定される。

とはいえ、SNSなどを常時活用するユーザ数は、首都圏が圧倒的に多いであろうことから、今回の100Mbpsエリア化による直接の恩恵を受けることは、短期的には見込めない。 

逆に、地方においては、これから増大するであろうデータトラフィックへの対応が、首都圏のような逼迫した状態になる前に手を打てることで、より快適なXi端末の利用環境が整備されていくはずだ。

各バンドの有効活用とFOMAからXiへのマイグレーション

【総括編】Xi 800MHzもサービススタート(後編)でも触れたが、B1・2.1GHz帯の4波x5MHz=20MHzのFOMAで利用している1波をXiに割り当てることで2波・10MHz幅/下り最大75Mbpsに容量をアップしたXiサービスの強化を発表しており、2013年3月末までに全国4,000局まで拡大する計画だ。

Xi対応基地局数は今年度末時点で23,000局を予定しており、2.1GHzの基地局数は、東京23区(2,681局)、政令指定都市(6,061)、人口30万人以上の中核市(2,713)の合計が11,455局ある。その内、4,000局の2.1GHz対応基地局を75Mbps化する効果はかなり期待ができそうだ。 特に東京の山手線沿線・ターミナル駅周辺でこれらの対応が進むことは、高速化ではなく収容数の拡大としての価値が高く、異常に遅いまたは繋がらないといった状況を大幅に改善すると想定している。

また、限定的ではあるが、B19・800MHzとB21・1.5GHzの5MHz幅でのXiサービスエリア拡大も、速やかに展開されることが期待される。

800MHzは、主に地方エリアが中心になるかもしれないが、面として広くカバーでき、非Xiエリアを早期にXiエリア化することに、1つの価値があり、さらに、2.1GHzや1.5GHzの電波強度が弱いエリア・セルエッジ(電波の届くギリギリのエリア)などでは届きにくい屋内への浸透を800MHzでカバーすることで、Xi圏外を防ぐ事にも有効なはずだ。

1.5GHzの5MHz幅は、都内などで電波干渉を抑制しつつ帯域を増やす為には有効ではないかと想定している。 代々木や品川など、都内の一部地域では実際に電波を確認しているが、何れも、山手線や駅の利用客でトラフィックが多いスポットということで、2.1GHzからのオフロードとしての価値が高いだろう。

2.1GHzが10MHz幅でサービスを提供しているエリアにおいても、秋モデル以前の1.5GHz非対応機種は2.1GHz基地局にトラフィックが集中するが、冬モデル以降は優先的に1.5GHzに接続するように制御すれば、その分、絶対数の多い2.1GHzへの負荷が軽減するはずだ。

また、B28・700MHzは、2015年からのサービス開始を予定しており2年も先の未来で待つしかないが、東名阪バンドのB3・1.8GHz(国内では1.7GHzという)は、ごく一部のFOMA機種のみが対応という現時点で殆ど活用されていない状況だ。

端末のグローバル調達を考慮しても、1.8GHzに対応するメーカー・機種は多く、トラフィックが多い東名阪エリアでの活用に期待する声も多く聞かれる。 2012冬モデルで800MHz対応のスマートフォンが2機種のみだった事を考えても、タイムリーに日本向けのバンドに合わせた端末をリリースしない結果から、1.8GHz対応への期待が高まるのも頷ける。

これらマルチバンドでのXiサービスへの期待の背景には、ドコモが2年近くLTEで先行した結果として、他キャリアのよりも圧倒的に多い800万回線がインフラへの負荷を高めており、都心部においてはお世辞にも「快適」とは言えない現状がある。 秋モデル以降のスマートフォンは全てがXi対応機種となり、LTE回線数が加速している現状において、特に逼迫している都心部を中心とした2.1GHz・10MHz幅への拡張や1.5GHz・5MHz幅の局追加など、短期的に改善する対症療法も大事ではあるが、東名阪ではB21・1.5GHz帯がデジタルMCA無線の停波(2014年3月末)までは使用できないなど、今後のユーザ・トラフィック増を賄えるのかは不明だ。

現実的に可能か判断ができないが、現在のトライバンド=B1(2.1GHz)・B21(1.5GHz)・B19(800MHz)に、2015年のB28(700MHz)が加わる迄の2年間は、東名阪のトラフィック対策としてB3(1.8GHz)でのXiサービスを追加して高速かつ快適なネットワークを実現し、2014年4月以降にB21・15MHz幅でのサービスも開始させることで、ユーザ・トラフィック増加に対応し、顧客満足度を高めて欲しい。
 

下り最大1Gbpsのリアルな4G規格『LTE-Advanced』までの2年間

ドコモは、LTE高速化の規格・実装技術『LTE-Advanced』を2015年にサービスを開始する計画だ。

複数のアンテナによるデータ送受信技術のMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)は、下りで2x2のMIMOから4x4のMIMOに、更に8x8のMIMOへと高速化が進み、上りもMIMO非対応から4x4MIMO対応へと進化する。また、複数のバンドを束ねて利用するCA(Carrier Aggregation=キャリアアグリゲーション)により、現在の最大20MHz幅から最大100MHz幅まで拡張することが可能で、理論上の最大速度は300Mbpsが1Gbps~3Gbpsにまで高速化される。

更に、2015年に総務省の割当が計画されている3.5GHz帯において、大型セルと、小型でエリアカバーが狭いセル(マイクロセル、ピコセル、フェムトセル)を組み合わせて使用するHetNet(Heterogeneous Network)を活用する事で、首都圏でのヘビートラフィックエリアに対応して、収容数の大幅な拡大を図れるとしている。

モバイルブロードバンドの未来は明るい。

しかし、キャリア各社が同様に次世代高速通信の準備を進めているが、それ以前に、現時点でのトラフィック増加による通信品質の低下を如何に抑制し、増加するLTEユーザをシッカリと収容するネットワークの維持・向上という課題がある。

コンテンツやサービスの充実、新規性によりユーザに魅力を伝えることも差別化要因としては大切な戦略だが、そのコンテンツやサービスを利用するには、快適なネットワークと高性能かつ使いやすい端末が大前提だ。 「土管屋からの脱却」ではなく、「土管あっての」コンテンツやサービスやアプリであり、土管・コンテンツ・サービス・アプリを体験するユーザとの接点が端末だ。

自前かアグリゲーションかサードパーティーかでの違いもあるが、ユーザに提供されるコンテンツ・サービス・アプリは日々進化し、収益を上げる事も一定の成果がでているはずだ。 ユーザとの接点となる端末も、昨年のモデルに比べて格段に性能も使い勝手も向上しており、ユーザ満足度は十分に高まっているはずだ。

一方で、インフラ面はサービスイン時と比べても、1年前と比べても、半年前と比べても、負荷の高まりから快適性は損なわれている面が目立っており、アーリーアダプター層からすれば間違い無く満足度は低下している。当然ながら、他社も今後はLTEユーザの増加により、徐々に高速性・快適性を劣化させることが想定される。

ドコモは、基地局数も多く、立地などの複合的な条件も含めて電波干渉などに悩まされるエリアも多々あるはずだが、それらの改善・解消といった地道なエリア構築といったところはドコモらしい強みとして継続しているはずで心配はしていない。 当然、無指向性のアンテナと中継局ばかりを乱立させるような事も無く、端末のアンテナピクトはシッカリだが繋がらないといった事も経験上は無いと言える。

豪雪などでアンテナが折れたら、パトロールか運用監視チームが見つけるのではないか?と思えるほど信頼感がある。

ウィルコムらしき基地局のアンテナ1本が欠落している?
新潟で見かけたアンテナが1本足りないと思われるWillcomらしき基地局アンテナ
 

それでも、限られた帯域で効率良く高速性と快適性を維持向上することは容易ではない。 前述の様に、FOMAからXiへのマイグレーションやバンド追加・基地局増設などの整備・再編は当然として、更に地道な改善がスループットを高める事もあるはずだ。

想像の域を超えないが、上り速度は上限近く出て、下り速度がそれほどでも無いケースでは、バックボーンのネットワーク機器を最新機種にすることでよりスループットを高めることができるのではないか?と思える事もあった。先行しているだけに、最新の機器への入れ替えも容易ではないかもしれないが、速効性のある改善策ということで、他社の数倍の費用を1局あたり投じているとされるドコモだからこそ地道な改善にも期待したい。
 

謝辞(見えない電波を見ること、測ること、知ること)

キャリア、ネットワーク機器メーカー、チップなどのキーデバイスメーカー、あるいは端末メーカーなどがフィールドテストを実施することは日常だが、それ以外で、モバイルネットワークの「電波」に興味をもって、数値的に見て、計測して、その技術的背景などを含めて知ろうとする人は非常に少ない「特殊な人」かもしれない。

例えば「auのLTEが●●で繋がらない」というツイートを見ると、iPhone5なのかAndroidなのか伝えないと、どちらのネットワークが非対応なのか、あるいは両方が非対応なのかも分からない。 本人は電波(バンド)の違いを知らない、伝える気がない、単に繋がらないと言いたいだけなど、電波には興味がないのだろうから仕方がないが非常に気になる。(キャリアのエリアマップを確認することすらある。)

スピードテストのアプリでも、何度か測って、スピードが遅い・速い、ping応答が遅い・速いとその瞬間をTwitterや記事などで伝えるケースは多いが、その結果の背景や状況を正しく伝えないことで、誤認されるような内容も少なくない。

計測ツール(アプリ)だけを見ても、Speedtest.netは良い、どこのサーバならば良い、RBB Todayは結果が怪しいなど、同時並行的に、多くのテストを実施しないで、記憶や感覚だけで情報が発信されることも多いが、例えばSpeedtest.netの那覇が良い(安定している、または、スピードがシッカリ出る)という人も少なからずいたが、今回の計測では沖縄のサーバは使い物にならない状態だった。

逆に、以前は不安定だと言われていたTOKYOサーバがホスト元の変更により大幅に安定化していた。RBB Todayは、テスト実行時に待ち人数が表示されるなど、少しでも安定した結果を出すような努力があり、今回も概ね安定した結果で、Speedtest.netの結果と比較しても、似たような数値が出ることが殆どだった。

記憶や感覚ではなく、誤差や負荷状況まで考えて、複数回での結果で判断すれば、計測時点でのツールの状態も分かるはずだ。

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今回のフィールドテストは、5名で10県に飛んで実施したが、「電波」を見て、測って、知るという作業を行うモチベーションという共通点があるが、個々には、「電波が大好き」「ケータイが大好き」「最高速を狙いたい」「地方の状況をチェックしたい」「複数キャリアのチェックをしたい」など、何らか別々な理由がある。

個人の感覚を排除するために、計測方法、電波のチェック方法などの事前のすり合わせを行い、現地では目的の電波を探し、1回線・1機種・1ツールごとに7回程度の計測を行うという、非常に手間も時間も掛かる作業を繰り返した。 エンドユーザレベル(端末レベル)でのフィールドテストの重要性や、手法についての共感・理解があり、実行したからこそ得られた結果であり、本特集というアウトプットを出すことができた。 この場を借りて、4名には感謝とお礼を申し上げる。


そして最後に、AppComing編集部としては、本特集記事というアウトプットが、モバイル業界関係者や、高速なモバイルネットワークに興味のある個人の役に立つならば、誠に幸甚だ。
 

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フィールドテストに参加したAppComingサポーター

 
協力: shimajiro(シマジロウ)

Twitter: @shimajiro 

ブログ: shimajiro@mobiler 
 
ケータイ&スマートフォン向けサービス企画が仕事。
 
プライベートではブログ『 shimajiro @ mobiler 』にてモバイルルーター・スマートフォン&ケータイ・各種ガジェットおよび海外旅行に関する記事を中心に執筆。 コジキング、元ルータープリンスとして知られている。  
Twitter @o2telefonica_2 協力:o2telefonica_2

 Twitter: @o2telefonica_2.html 

 某大手日本メーカーの端末や網のFT担当で英国、ドイツ、フランス、アメリカ、ブラジル、台湾などに長期滞在試験実績。
その他自主FTで世界75ケ国と地域でWCDMAとGSMのローミングを経験。 最近現場を離れたが週末はLTE測定に夢中で、北は稚内から南は那覇まで、アジアでは香港でもLTEスピード試験を実施済み。
長文は得意でないので傍らTwitterで情報発信中。趣味は電波を掴む事、廉価に端末を購入する事、飛行機と旅行。 かつて訪問したなかで好きな場所はアイスランドとフェロー諸島とスウェーデン。自慢出来る?レア訪問地は、レバノンとグルジアとボスニアとセルビアとウルグアイ辺り。
Twitter @cobatake 協力: 小林 健志

 Twitter: @cobatake 

 ブログ:小林健志のblog~「のほほん日和」

 携帯電話好きが高じ、携帯電話・モバイル関連の取材を行うようになった宮城県仙台市在住のフリーライター。
 
また、Jリーグベガルタ仙台などサッカーの取材も行っている。
Twitter @itiyuki 協力:itiyuki

 Twitter: @itiyuki 

 ブログ: アイティアイ社長の中のひとのblog

 某コンテンツ関係会社代表取締役の中のひと。

 アナログ方式時代からのケータイマニア。

twitterでは通称【大阪の人】と呼ばれているが最近は余り大阪に居らず、全国各地のケータイショップを回ったり電測したりする日々。

  

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補足・参照用URL

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