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イー・モバイルのLTEバンド3・1.7GHz帯の追加割当獲得に向けた意欲と懸念【3】広報への訪問取材レポート
( 2013-09-30 12:00:00 )

イー・モバイルのLTEバンド3・1.7GHz帯の追加割当獲得に向けた意欲と懸念

イー・アクセス(eAcess)が9月18日に開催した、イー・モバイルの「1.7GHz帯拡張実験及び今後の展開に関する記者説明会」に関して、9月27日にイー・アクセス広報・CSR室を訪問取材して特集第3弾は、訪問取材で確認した内容をレポートする。

9月26日の訪問取材は、イー・アクセス広報・CSR室長代理に取材対応頂いた。
(記者説明と重複する点が多々あるが、取材時の話の流れに沿ってレポートする。)
 

広報: 現在のPocketWiFi製品は、現行機種が9世代目となり、3GからLTE最新機種への変更を希望するユーザには、実質端末を¥0で提供しており、LTEへのマイグレレーションを推進しているが、現状では下り最大75Mbpsに留まっており、一方で他社は、UQコミュニケーションズがWiMAX 2+を間もなくサービスンさせ、ドコモは10月から同じB3(1.7GHz帯)で下り最大150Mbpsのサービスを開始する段階で、EMOBILEユーザだけ75Mbpsで止まって、周波数が無いという言い訳もできず高速化競争から脱落したという状況になってはいけないと考えている。
 

(過去に遡ると)総務省の低価格化・競争を激しくしたいという意向から、2005年に免許を取得し、2007年に新規参入している。
参入当時、モバイルデータ通信は従量課金が主流で、ドコモなら下手をすると数万円、ウィルコムが提供していた定額プラン(AIR-EDGEも256kbps・408kbps)も月額約1.2万円もしていたが、EMOBILEは2007年3月31日に東名阪でHSDPAを利用したデータ通信を下り最大3.6Mbps・完全定額制の5,980円で提供を開始した。

現在は当時と比較してスピードが約200倍、料金が1/3になったが、これはイー・アクセスがこの市場に参入して競争が生まれたからであり、ユーザに安くて速いモバイルを提供することが使命だと考えている。

株主はゴールドマン・サックスなどから、ソフトバンクが1/3、その他ISP各社などが2/3という状態に変わったが、資本・持ち株の関係は別として、きちっと競争して、イー・モバイルのサービス・料金を打ち出すことで、ソフトバンクも含め他社に対して刺激をして、結果として高速化・低価格化を市場にもたらして各社ユーザのベネフィットに繋がるように、使命を果たしてきたい。

しかし、現状の75Mbpsで止まってしまい、レガシーなモバイルデータ通信となってしまうと、高速化・低価格化の競争が弱まり、ユーザのメリットが弱まる懸念もあるため、EMOBILEも競争に参加させて頂いて、もっともっとやっていきたい。 

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AppComing: おっしゃる事は分かりますが、「ダブルLTE」だ何だと、声が大きいソフトバンクなだけに、外からの見られ方は別だと思いますが?
端末展開において、現状、AXGP(WCP)対応機種は出しているが、FDD=LTE対応で、自社のバンド3の他にソフトバンクのバンド1・バンド8も含めたトライバンド対応機種を出していくのか?(イー・モバイルのユーザからすると、ソフトバンクへのローミングで帯域を取られていながら料金が変わらないという見方ができる。)
帯域が足りていない状況については、帯域あたりのユーザ数にもよるが(ローミングによりEMOBILEユーザ数以外にもソフトバンクのユーザが乗ってきている点)


広報: 現状、GL09PはAXGP(110Mbps)+自社LTEとなっているが、1.7GHzを高速化するのが本道で、端末自体が150Mpsに対応していても75しか使えない状況で、AXGPにより高速化競争を助けてもらっている苦肉の策。F0があれば3Gが残っていても112.5Mbpsまでいけるので、割り当てて頂きたい。

AppComing: 確かにF0があれば、高速化の目的を達するのでAXGPは必要なくなりますね。(利用するかどうかは別として)

広報: トライバンド化(B3+ソフトバンクB1/B8)については、広報レベルで話ができる状況ではない。上は考えているかはわかりませんが。

AppComing: 自社のB3をローミング提供により圧迫しつつ帯域(F0)を取りに行く、あるいは、相互供給しないのかという見られ方をするのでは?

広報: スマートフォンでも3G合わせて95%ぐらいだが、ソフトバンクの3G(2.1GHz)エリアが利用可能になったことで99.99%にエリアが広がっているので、ユーザに対して一定の恩恵はある。

AppComing: 3Gはそうですが、LTEでB1に対応すれば、来春80%の予定が一気にアップしてカバー率があがりますが?

例えば、B3→AXGP→B1の順序でも良いので、高速なカバー率が広がるほうが良いのでは?
ソフトバンクのB1LTEが逼迫しているという理由で相互供給は無理ということかもしれませんが、「ソフトバンクにいいようにやられている」「属化しているのでは?」「対等だったらB3出すからB1出してとなるのでは?」という見られ方になるのでは?

広報: やはり、そういった見られ方をしますか。 意見として伝えます。

 

<説明会資料の各ページを確認しつつ>

 

広報: 競争環境でいうと、ドコモさんは既に20MHzを持っていて10月から150Mbpsでサービスを提供するので、獲得してこの帯域で競争していきたい。

AppComing: 不連続な5MHzずつをドコモが取りに行くのは変だよねという論調はあると思いますが。

広報: 実際、不連続でも飛び地みたいなところですから。ドコモさんはやられるということで準備しているのででしょうかね? 申請されるかドキドキしながら。

AppComing: 無いとは言い切れませんね。
iPhoneローミング開始以降、B3の負荷状況はどうでしょうか?逼迫して追加が必要というシナリオがあるのかということで。

広報: 自社のPocket WiFiユーザ増加によるものが主で、数字的なものは今持っていないが、iPhoneユーザが来たからB3が爆発的に混むということは無い。
使い方がPocket WiFiとiPhoneのテザリングの使い方が違うので、自社ユーザが迷惑して使えなくなるような事は起きていない。

AppComing: どちらかというと自社3GからLTEへの切り替えユーザによる負荷ということになりますか?

広報: まぁ、そこはやっぱり、はい。

AppComing: 3GからLTEへの移行率は何パーセントぐらいですか?

広報: 数字は出していません。

AppComing: ソフトバンクからのローミングより自社LTEユーザ増加の影響が大きい事を数値的に出して欲しい。
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今後の実験局は?

広報: 今回の香川での実験は予定通り9月末まで。

AppComing: 今後、その他の高速化の実験局の予定はありますか?

広報: 実験局の予定はありませんが、F0の割当があれば1か月程度で高速化のサービス提供が可能です。

AppComing: 早ければ年内ぐらいですね。

広報: 正式な発表はまだですが、年内か来年早々ぐらいまでには(スタートしたい)。

AppComing: 新商品の予定は10月中に発表でしょうか?

広報: はい、その方向で。
また、今後の高速化についても、2015年の700MHz帯のサービスイン、その後の4x4 MIMO、2020年までの8x8 MIMOによる900Mbps化やプライスリーダーとしてのポジションを維持をしていきたい。 その前提として今回の5MHz追加が重要になってくる。

 

AppComing: 高速化だけでなく、逼迫しつつある状況の数字などは新製品発表の際には開示して欲しい。
また、ゴールデンウィーク時期に都心をクルマで1周の電波測定を行ったが、他社よりも穴が多かったので、改善して欲しい。
 

取材をで感じた意欲と懸念

今回の取材を通して、イー・モバイルはソフトバンクのグループであることよりも、独立した1社として強調した説明・質疑応答に終始していた。

イー・モバイルは、高速化のための周波数が足りないこと、それにより高速化競争に乗りきれず、ユーザに廉価で高速な自社のサービスをできない現状があること、1.7GHzの隣接帯域5MHzずつを割当されれば短期間で下り最速112.5Mbpsの高速なサービスが開始できることなど、イコールフッティングの観点から割当は妥当であること、イー・モバイルの使命感や実現に向けた意欲を強く感じられ、好感の持てる内容であった。

しかし、何れもイー・モバイル単体の移動体通信事業者としての立場であった。
現実はといえば、ソフトバンクグループの1社である。

国内でのソフトバンクグループが保有する帯域幅は、ウィルコムのPHSを含めるとダントツの1位という現状があり、まだ記憶に新しいWCP(Wireless City Planning)社とUQコミュニケーションズによる2.5GHz追加割当争奪戦において、丸々UQ社が割当を受け、ソフトバンクが激しく反発していたが、イコールフッティングではなく、グループ全体として見られている事が、その要因の1つであることが推察される。

高速化競争においては、グループ内のWCP社が提供するAXGPを使用して下り最速110MbpsのGL09Pモバイルルータ製品を発売しており、ソフトバンクがiPhone5で逼迫している2GHz帯(バンド1)の補完として展開する「ダブルLTE」の為に、今年の春からイー・モバイルの1.7GHz帯(バンド3)をローミング用に提供しているが、エリアカバー率の低い1.7GHzを補完が可能なソフトバンクの2.1GHz帯は提供されておらず、相互供給がアンバランスな状況と感じられる。

今回の割当では、論点を「高速化競争に参加できるように割当をして欲しい」としているが、ソフトバンクグループとしては競争に参加できている状況であり、逼迫した状況にあるか無いかも割当において無視ができないのではないかと思うが数値的な情報公開が無い。

単独で、かつローミング提供開始により逼迫しつつある状況も推察できるが、TCAでの統計を含め、加入者数などの発表を行わなくなった事で掌握できない数字が多く、自社3GユーザのLTEへのマイグレーションの進捗状況や、ソフトバンクへのローミングサービス提供によるトラフィック増加についても当然ながら数値的には不明な状況だ。

ソフトバンクの議決権ベース持ち株比率は1/3まで減ったが、発行済株式のほぼ全てを握っている事で、ソフトバンクの一部であることは間違いない現状は否定ができないが、独立性を保つ、あるいは対等に競争関係にあるモバイル通信キャリアであるならば、施策や数値的により訴求して欲しいところだ。

1ユーザの視点としても、ソフトバンクに帯域を喰われているのでは?と感じる一方で、高速化競争・価格競争において、しっかりと存在感を持ってもらい、ユーザベネフィットを享受したいはずだ。
端末は150Mbpsに対応しているにも関わらず、周波数が足りないから高速化がいつまで経っても実現する目処が立っていないということも望ましくないことであり、アンフェアだと感じるユーザもいるだろう。
 

全ては、これからの申請・審議などに依るが、周波数帯の割当はこの1.7GHz帯以外でも行われるわけで、連続した20MHzによる電波利用効率や、イー・モバイル既存ユーザのベネフィット・プロフィットを考慮しても、今回はイー・アクセス社に割当をして、単体の移動体通信事業者として、ユーザ、業界、総務省からも支持・納得する結果を出してもらいたい。

但し、数値的な情報の公開も含めた透明性を高め、親会社であるソフトバンクとのフェアなローミング相互供給が行われることなど、懸念されるような点を解消していくことを期待する。
 

 


 

特集:イー・モバイルのLTEバンド3・1.7GHz帯の追加割当獲得に向けた意欲と懸念

 

LTEバンド割当状況

オペレータ 種別 FDD FDD FDD FDD FDD FDD FDD FDD TDD
バンド 1
2100MHz
3
1800MHz
8
900MHz
11
1500MHz
18
800MHz
19
800MHz
21
1500MHz
28
700MHz
41
上り 1920~1980 1710~1785 880~915 1427.9~1447.9 815~830 830~845 1447.9~1462.9 703~748 2496~2690
下り 2110~2170 1805~1880 925~960 1475.9~1495.9 860~875 875~890 1495.9~1510.9 758~803
NTTドコモ 全国バンド 未定       Middle
2015年?
 
東名阪バンド   2013年10月以降              
KDDI/沖縄セルラー         Low
2015年?
 
UQコミュニケーションズ                
ソフトバンクモバイル   2014年4月以降          
イー・アクセス             High
2015年?
 
Wireless City Planning                

 

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